再雇用拒否から今日に至る年月

 ご無沙汰しました。集団的自衛権が7日1日に閣議決定し、口惜しくてなりません。自分の裁判よりそのことで頭がいっぱいです。中身もそうですが、安倍首相の独裁が許せない。これまで、憲法と一緒に歩んできた多くの国民をこうも簡単に踏みにじるのであれば、自民党を政権から引きづり下ろすほかないでしょう。未だ間に合います。これから本当の闘いが始まると思います。

 さて、私のほうは、8月6日の結審までに裁判所に提出する書面の作成にかかっていて、とても忙しいです。
裁判所前で撒くビラができましたのでお目にかけます。控訴人の私ではなく、支援団体からの手紙という形になっています。
字数の関係で、加筆・修正しました。これまでかなりお知らせしていますので、ダブリがたくさんありますが、纏めて読むと分かりやすい事もあります。長文ですが、読んでいただけると嬉しいです。

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 東京高裁は、私たちにも、「司法は生きている!」と、言わせてください。

東京高裁第五民事部
       大竹たかし裁判長 山本剛史裁判官 田中寛明裁判官 様

 裁判官様におかれましては、日々正義の実現のため、ご尽力されていることと拝察申し上げます。
 この度は、私たちが熱望しておりました元同僚の証人採用が実現し、田畑さんも支援者の私たちも、天にも昇る心持ちでした。これまで、同僚や教え子たちの証人申請は却下され続け、真実を無視したまま、敗訴が言い渡されてきました。私たちは裁判に正義は通らないのか、と失望するばかりでした。
 それでは、これまでの経過をお話しします。

        ◆ 異例の不採用
 田畑さんが、1995年度の都教委再雇用を拒否されたのがこの事件の始まりです。
 この再雇用制度は、定年制導入のため、東京都と都労連が長期間に亘り検討を重ね制定に至ったもので、希望者は全員採用が原則で、実際、そのように運営されてきました。
 ですから、この不採用は、東京都の教員にとっては大事件した。「理由は秘密」と言われれば尚更のことです。

      ◆ 当時、校長らは何と言ったのか

 中神校長は田畑さんに「都の決定です」「予想だにしなかた」「推薦書に不利益なことは書いていない」と答えました。豊島区教委成田指導室長は田畑さんと会わず、都教組豊島支部の委員長に「私の責任です。田畑先生は教師として不適格というのではない。遠慮してほしい」などと伝えたそうです。 これで田畑さんが諦めると校長側は目論んでいたのでしょうが、彼女は訴訟を起こしました。どこからも苦情がなく思い当たるとのない彼女は、どうしても理由が知りたかったと言います。   
           【一次訴訟】

     ◆ 不採用の理由は全て事実無根だった!

 豊島区教委成田指導室長は「はい、これですよ」とばかりに陳述書を提出。それは、山ほどのデッチアゲで溢れていました。
 例を挙げると、田畑さんをは病気治療中で担任が持てなかった。その上、副担任の仕事をさぼり教頭が指示しても従わない不良教師である。そして、これらの根拠はすべて校長からの情報であり、区教委は、区教委の行った面接とあわせて、田畑教諭は教員に相応しくないと判断。都教委へ不採用の内申をした旨、書かれていました。
 これは明らかに不法行為です。都の「嘱託設置要綱」によると、区教委の役割は、面接によって「意向、意欲の確認」をするだけであり、情報を入手して、先入観をもって面接してはいけないのです。証人にたった都教委の人事課長は「都としてはそのようなことは考えていない」と成田の行為を否定しました。

 田畑さんは、成田の陳述書を見て「教師として不適格ではない」と言っていた室長が、裁判になると正反対のウソを作り出すのか、と驚きました。校長が、推薦書の評定欄に「ほとんどC(最低)」を、健康欄には「健康悪い」と記入していたことも判明しました。「健康」は要件の一つですから、これだけでも不採用にできるのです。

 校長は二次訴訟になってから「田畑教諭は生徒とのふれあいが少ない」を欠点として追加しました。これは思いついたウソをドンドン陳述書に散りばめようという作戦でしょうが、見当違いなことが多い。多くの教え子が進んで陳述書を書き、証人を希望してくれました。ふれあいのなかった教師に生徒がこんなことをしてくれるでしょうか。

 校長は書いてくれた生徒達を「田畑先生に頼まれたから書いた。子どもに罪はありません。」と侮辱しました。自分が不利になると、相手を叩くのが校長のやり方です。何の証拠もなく。このために生徒達がどんなに傷ついたか、校長は分からないのでしょうか。

     ◆ 判決 ― ビックリ!! 裁判官が捏造―

 誰もが勝訴を確信しましたが、敗訴に終わりました。裁判長は京地裁民事一九部(労働)の山口幸雄裁判官。

 判決文は、田畑さんが提出した証拠には全く触れず、拒否理由真偽の判断では、ほとんどが双方の主張の羅列を記載したに過ぎせんでした。
 ただ「健康」については、裁判官が校長に成り代わり「原告が卒業式に腹痛で休んだことから校長が『健康に問題』と主張するのもやむを得ない」と「健康でない」を認めました。実は、校長はこんな主張をしていないのです。「健康」については証拠がなく根拠が弱かったので、裁判官が補強のため「ご親切に」捏造をしたと思われます。ここで、「冤罪」が作られました。

 校長と豊島区教委と都教委と裁判所がよってたかって、田畑さんを痛めつけるとは、まるで集団リンチです。

         【二次訴訟】

 二次訴訟では、一次訴訟で真偽の判断を避けた拒否理由の真偽を求めました。すると被告中神は33ページもの陳述書を提出。それは一次訴訟の陳述書を全面的に書き換え、限りなく変遷させ、不要な追加をしたものでした。どちらも虚偽ですが。
 しかし、一審判決は「被告が頭にあることを陳述、証言したのだから虚偽ではない。」と田畑さんを敗訴させました。
 二審は一回目で結審され、「校長は公権力を行使したのだから個人の責任は問えない」と敗訴。藤村啓裁判長でした。

         【三次訴訟】

 今の三次訴訟は、二次訴訟の中神校長の陳述書から、虚偽性が高く証拠のあるもの二件を名誉毀損南京大虐殺に関する豊島区教委への虚偽文書を思想差別として訴えたものです。
 地裁民事18部吉田徹裁判長から理解し難い不当判決を受け、控訴しました。 

    ◆◆ <現在> 東京高裁‥‥元同僚の証人尋問実現

 元同僚の尋問は、彼女の人柄もあって、感情を交えない、質問に淡々と答えた冷静なもので、真実を述べていることが誰にも分かりました。
 この尋問で、中神校長の幾つもの捏造が明らかにされました。 南京大虐殺に関する区教委への報告書における組合への敵意と校長の目的、「生徒の自殺隠蔽」では自分も現場へ行ったが事故とは考えられない事、田畑さんが、職員朝会で校長に「本当の事を言って下さい」と発言したのは、何も知らされないままにされている皆の気持ちを代弁したものであること、「学年編成の件」では「胃が痛い」という人はいなかったこと。

 最後の田畑さんの代理人からの質問「10年間同僚であったと者して、中神の陳述をどう思うか」に対して「なぜこんなに執拗に田畑さんを攻撃するのか分からない」と答えました。こには私たちも同感です。
 田畑さんの代理人は、中神校長について「証人だったら刑法上の偽証も成立する可能性が高かった」と言われました。元同僚の最後の答えの通りで、山ほどの捏造をして『執拗に』追及しているのは中神校長の方です。

       ◆ 終わりに               
 田畑さんは今年79歳になりました。ここで長年の闘いが実を結び、真実に基づいた判断が下されますよう祈っております。

      田畑先生の再雇用拒否の真相を究明する会・支援者一同
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      《《傍聴者の感想 》》
☆元同僚の証言は、学校現場を経験した者には、説得力がありとても誠実であったと思います。裁判長の表情を見ている限りは、好意的に受け止めていたように思いました。被告側の弁護士の尋問では、元同僚が校長に恨みを抱いているかのように印象づけるかのようで、権力を持つ者の横暴さに腹が立ちました。(Iさん)

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田畑のコメント
 読んでみると、随分長い間たたかってきたなあ、と思います。事件発生時一緒に闘って下さった方の中には私より年上の方も多く、亡くなられた方が、数人いらっしゃいます。いいお知らせができなかったのが、悔やまれます。また、私を受け止めてくれた歌の仲間は、変わらずズーッと支えてくれました。本当に大勢の方達のお陰でここまで来られたのだと、ひとりひとりの顔が浮かんできます。後、一踏ん張り、頑張ろうと思います。これにて。